文化遺産マネジメントラボ

Cultural Heritage Management Laboratory

実践例①

PRACTICE1

名勝庭園×レストランで 2.5倍の集客に成功

代表 米本 潔

NPO法人 旧堀氏庭園を守り活かす会
事務局長 青木由充

米本:まちの中心地からけっこう離れていますが、一年を通じてかなりのお客さんが来られていますね。
青木:”医食同源”のコンセプトが今の時代に受け入れられているようです。紅葉シーズンだけでなく、レストランを目指して来られるお客さんも増えてきました。
米本:崩壊寸前の旧病院の建物をどうやって保存しようか悩みましたが、少し離れたところにある主屋と庭園が名勝指定されるのにあわせ、一帯として指定することで保存することができました。
青木:銅山師として地域に貢献した堀氏の関連文化財として病院建物が保存され、多くの人が訪れてくれるようになり、大変うれしく思います。庭園だけでなく旧病院も指定され、村に一体感を抱くことができます。小さいころからこの病院にはお世話になりましたから。
米本:病院建物を整備し、その後どう活用するのかについて、文化庁から課題が出されました。商工会での経営セミナーにレストランの経営者と私と一緒に参加しましたね。
青木:教育委員会が「活用計画」をつくるということで当時は公民館長としての立場で参加しました。あの時はまだレストランをやることが本当にいいのか不安がありましたが、セミナーを通じて米本さんの想いに接し、活用の意味が認識できたように思います。
米本:当初は地域活性化の任意団体として勉強会などを開催していましたが、その後NPO法人を設立するということで、少しサポートさせていただきました。

青木:NPO化は活動について社会的な責任を持つこと、他者からの信頼性を高めることが目的です。これまでやってきた環境整備や勉強会、イベント活動に加え、レストランの運営を新たに加えました。私にとっては初めての経験でしたので、会議の招集から資料作成など、設立の手続きなどについては、米本さんにご指導をいただきました。米本さんには社員になっていただき、今も色々とアドバイスをいただいています。
米本:NPO法人として文化財を守っていたくために様々な取り組みをされていますね。
青木:周辺の環境整備や建物の維持管理を町から委託されて行っています。また、土蔵に遺された民俗資料の整理や古写真の収集なども教育委員会と協力して行っています。
米本:その後社会情勢も大きく変化し、当初の活用計画についての見直しをお手伝いさせていただき、行政担当者、集落支援員、NPO法人で連携をとるようにしました。
青木:活用計画の見直しを図るため、米本さんのサポートで「企画委員会」を立ち上げました。計画策定後は、毎月定期的に打ち合わせ会議を開催し、様々な課題を共有し、活用プランの実証実験などを進めています。
米本:これから人口が減って行く中で、地域の宝である文化財を守っていくために大切なことはなんでしょうか。
青木:文化財を守っていくための仕組みづくりは当然ですが、それを運用するためのマネジメントの実践、そして文化財の価値を後世に伝えていくための人材を育成することだと思います。
米本:これからも一緒に頑張っていきましょう。本日はありがとうございました。

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